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2005年10月 3日 (月)

朽ちていくビジネスモデルにしがみつく権利団体

色々と理由をつけて私的録音録画補償金の適用対象拡大を求める権利団体の言い分だが、あからさまな言い方をすると
『ipodをはじめとするハードディスク内蔵型録音機器等の出現によって、私的録音録画補償金の回収金額が減少する恐れがあることから、回収金額の維持・向上のために、今後の主流となるであろうハードディスク内蔵型録音機器等からの補償金回収を目指す』
という風に見てとれる。
しかも、補償金が補償すべきものの本質といったものには目もくれず(そちらに話が進むと困るから避けているのかもしれないが)、デジタルで録音録画するものには全て補償金が必要だと言わんばかりの(いや、言っているか)乱暴な理屈だ。

しかし、これはどう考えても変だ。
現在、私的録音録画補償金として課金されているものは、本来著作者が提供する著作物によって得られるべき利益の範囲を遥かに逸脱して徴収されているとしか思えない。

著作者が利益を得ている著作物(ここでは音楽や映像に限定する)は、基本的に無形の唯一無二の存在だ。
それがどのようなメディアで提供されるにせよ、一人に対して提供される著作物もひとつでしかない。
それから考えれば、本来一人の人間がひとつの著作物に対して対価を支払うのは1回でいい筈ではないのか?

そもそも私的録音録画補償金というものは、本来の著作物に対する代価としての課金ではない。
違法複製などにより権利者の利益を損なう行為に使われる恐れがあるという理由で、実際にそのような行為を行っていない人も一まとめにしてリスク分の補償を要求しているのである。
本来なら違法行為者に対しての直接の処罰等で対処すればいい筈ではないのか?(JRだって無賃乗車の可能性があるからとかいって、全ての乗客の運賃にリスク分の上乗せを要求したりはしないぞ)
そして、現在に至っては本来の目的も忘れ、DRM等の保護機能を備えたメディアにさえも課金を求めているような状況なのである。

考えてみて欲しい。
「好きなアーティストのCDを5枚持っている。特に好きな曲だけを聴きたいから、各CDから好きな曲だけを録音したMDを作って、普段はそれを聴いている」
「持っているCDをいつでも持ち歩いて聴きたいが、CDはかさばるので、MDに録音して持ち歩いている」
どう考えても、権利者の利益を不当に妨げているとは思えない。
何故、こういう行為が課金対象に含まれてしまうのか

考えてみて欲しい。
そもそも私的録音というものが何故行われているのか?
一番の理由は、さまざまな利用形態に応じて、それに適したメディアに著作物を移す必要があるからだ。
もしも今よりもっと技術が進歩して、どんな利用形態にもそのまま使えるメディアが登場したら、大半の私的録音という行為自体が激減するだろう。

権利者達が、自分達の収入が減っていくという危機感があるのは理解できない事もない。
しかし、それはipodを始めとするハードディスク内蔵型録音機器等が原因ではない。
今までの古いビジネスモデルが終焉に近づいてきたためなのである。
それらにしがみついている者達にとって、ipodは秩序の破壊者に見えるかもしれない。
しかし、ipodが破壊しているのは古いビジネスモデルなのであって、決して著作権法や権利者の利益を破壊しているのではない。

技術の進歩は、時としてそれまでのビジネスモデルを過去のものにしてしまう。
例えばデジカメやプリンターの進歩は、それまでの写真関連業種のビジネスモデルを根本から揺るがしている。
それでも各社は「デジカメやプリンターに、補償金をのせてもらわないと困る」なんてアホな事は言っていない。
新しいビジネスモデルの中で何とか生き残ろうと必死に頑張っているのだ。
「補償金が減ったら困る」なんて大甘な考えでなんとか補償金の対象を増やそうとするような権利団体に、どのような存在価値があるのだろうか?

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