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2005年10月 3日 (月)

権利団体が経済的影響を算出したらしいが・・・

音楽リスナーとPCユーザのための著作権パブコメ準備号の「さすがに怒りますよ、と。」によると、権利団体がipodによる経済的影響を算出したらしいのだが・・・

ITmedia +D LifeStyleの「「iPod課金」――実現したら1台あたり400円プラス?」によると、『文化庁文化審議会著作権分科会 法制問題小委員会が9月30日に行われ、著作権分科会へ提出された中間報告書(「審議の経過(案)」)について各論点の再整理が行われた。』
『注目を集めたのが、日本音楽著作権協会と日本芸能実演家団体協議会、日本レコード協会の3団体が提出した「ハードディスク内蔵型録音機器等による私的録音から著作権者・著作隣接権者が受ける経済的な影響」と題された資料だ。』とのこと。

同記事による提出資料で算出された経済的影響とやらの内訳を見たが、多少は予想していたとはいえ、落胆してしまう内容だった。

落胆した最大の理由は以下の通り。
影響度の算出前提を、ハードディスク内蔵型録音機器等が、
(1) 著作権法第30条1項の適用を受けない場合(複製権の許諾を新たに必要とする利用形態であると仮定した場合)
(2) 著作権法第30条2項の適用を受けた場合(デジタルオーディオプレーヤーが私的録音録画補償金の対象に含まれると仮定した場合)

として算出している。
つまりは、ハードディスク内蔵型録音機器等に対する録音行為を、最初から権利者が利益を得られる行為であると決め付けているのである。

ここで権利者側に、声を大にして言いたい。
ハードディスク内蔵型録音機器等に録音するという行為自体を、権利者の利益を損なう行為とするのは明らかに間違いだ。
複製行為そのものが権利者の利益を損なうのではなく、複製によって正式な著作物を購入しないという行為が権利者の利益を損なう要因である。
だからこそ、権利者の利益を損なう事の無い(著作物の購入と競合しない)私的複製は、複製権の許諾を必要としないのである。

では、ハードディスク内蔵型録音機器に録音される著作物の中で、どれだけの物が権利者の不利益につながるのだろうか?
問題の直接の対象であるipodの場合を考えてみよう。
iTunesからのデータは正規購入物そのものであるから、著作物を購入しなくなるという議論の対象にすらならない。
購入したCDからの録音も、すでにCDという著作物を購入しているのだから、基本的には(注記:例外はある)対象外としてもよいだろう。
レンタルCDからの録音も、録音する事を想定した価格としているので、録音行為自体に問題は無いはずだ。
レンタルで済ますユーザーは、よほど気に入った場合を除けば、デジタルで録音できなかったからとしても権利物を別途購入する事はあまり考えられない。

この事からも、ごくを普通に使用している人のipodの中には、権利者の利益を損ねるデータなど殆ど入っていない事が分かる。
前述の記事による権利者側の影響算出では、ハードディスク内蔵型録音機器等に録音された権利物の総数にて影響金額を算出しているが、これらの事を全く考慮していない時点で、完全に算出方法を誤っている

このような誤った理屈を背景にした私的録音録画補償金の適用拡大など、とても容認できるものではない。
もっときちんと筋の通った調査結果を提出してもらいたいものだ。

(注記)
権利者への還元が発生しない中古CDからの録音の場合には、権利者の損失が発生していると思われる。
しかし、中古CDからの録音が一部のケースでしかない以上、公平なる打ち手は中古CD販売時の費用から権利者へ還元する方法だ。
確か以前の文化審議会著作権分科会法制問題小委員会でも話題にのぼっている話だと思うが、この件に対しては特に反対する理由は無い。
中古CDの購入は明らかに権利物の購入であり、それに対して権利者への還元が無いのはおかしい事だと思う。
ただし、そうなると友人からの貸し借りCDはどうなのか?という話に繋がっていくかと思うが、中古CDは明らかに購入の意思があるのに対し、こちらは借りなかったら購入したか?という点が明確にできないため、利益を損なったと断定するのは難しい。

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コメント

中古CDは当然のことながらそれを手放した人がいるわけで、権利物は当然その人の手元には無くなるわけです。
ということは、それに対する権利分の返還が無いのはおかしい、という理屈も正当化されるのではないでしょうか。
(実際には、手放した者への返還が無い代わりに購入者から権利者への支払も無いわけですが)

ただ、権利物を手放した場合に私的複製物を手元に残すことの是非という問題はあるわけですけれども。

投稿: abcd | 2005年11月23日 (水) 23時54分

>abcdさん
コメントありがとうございます。

中古CDとして売却した場合ですが、権利物が手元に無くなる事に対して権利分の返却が無いのはおかしいというのは、ちょっと考え方として無理があるのではないでしょうか?
例えばCDを売るのと捨てるのとでは権利物が手元から無くなるという意味では同じ事ですが、購入したCDを飽きて捨てたから無くなった権利分を返却しろというのは行き過ぎた要求だと思います。

私はこう考えます。
CDというメディア自体が権利物ではなく、そのメディアに収められた曲が権利物なのですから、CDを購入し自由に聴くという行為を行えたという時点で、代価分の権利を行使している訳です。
ですから、その後にそのメディアを手放したとしても権利物を買っていない状態に戻った訳ではありません。(その曲を聴いたという事実は変わらない)
この状態に対して権利物の返還要求するというのは、映画館で映画を観た後、映画館を出る時に入場料の返還を要求するようなものだと思います。

まあ、難しい理屈を抜きにしても、例えば何かの曲を新品/中古問わず100人の人が購入したら、100人分の代価が権利者に還元されるべきだと思うのですよ。
100人の内50人が中古で購入したからといって、50人分の還元しか得られないというのは、やはり理不尽です。
私見としては、中古買取価格はあくまでメディアの代価とし、中古販売価格にはこれに権利費等を乗せて権利者へ還元するというのが理にかなっているのではないかなんて思ってたりします。

投稿: KAMATY | 2005年11月24日 (木) 01時06分

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